総合事業と人手不足

ケアサポーター・もやい 理事長 渋谷紀久雄

介護事業は、介護報酬の引き下げによって売り上げが減少し、経営が厳しくなってきています。
介護予防訪問介護と介護予防通所介護が、順次市区町村の総合事業(介護保険予防・日常生活支援総合事業)に移行することにより、報酬単価が引き下げられました。
当社の場合2017年7月の時点で、訪問介護サービス利用者の24%、通所介護利用者の27%が、総合事業または予防給付のご利用者様です。
次の介護報酬改定では、軽度者向けサービスのさらなる報酬単価の引き下げが予測され、報酬単価が年々厳しくなることは間違いないようです。

2018年4月からは、現在の予防訪問介護・予防通所介護は、すべて総合事業に切り替わることになります。
足立区では、報酬単価が低い総合事業のサービスは請けないという事業者もおられ、総合事業の受託申請をしている事業者数は総事業者数の36%にとどまっています。
総合事業をやらないとしたら、現在サービスを提供している予防介護の利用者様も、来年4月には他の事業者に移さなければならないことになります。
会社には、現在でもサービス移行の打診や依頼がありますが、来年度までにどこまで受けられるかを決めなければなりません。
総合事業だけでなく、前期高齢者(65歳以上)と後期高齢者(75歳以上)の人数の逆転により、介護度3~5の認定者の増加が予想されています。
サービス提供の人員が足りない、募集してもヘルパーさんが集まらないという状況が続いています。

今後の経営の課題は、売り上げ減少と人手不足の二重苦となりますが、働き手の不足は介護事業だけでなく、他のサービス業でも同じ状況といえます。
2020年には東京オリンピックが開催されるため、2019年の夏から年末までが人手不足のピークになると言われています。
オリンピックが過ぎれば経済の過熱もひと段落する可能性があり、今年は2018年の報酬改定の対応策と、2020年までの3年間をしのぐ方策を用意しなければいけないと思っています。

今後の介護保険制度の先行きは、
1.要支援者は、総合事業に
2.要介護者は、重度者と認知症を重視する
という方向に向かうでしょう。

地域密着の事業所として、地域のお客様に選ばれ、お客様に必要とされるサービスを提供し続ける、地域に無くてはならない事業所を目指していきましょう。

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