白川郷“結”復活のための試み

取締役 渋谷紀久雄

あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。健やかに新年をお迎えでしょうか。

合掌造りの屋根の葺き替え作業を通して、“結”を甦らせようとする白川郷の記録番組を見ました。
住民総出で数百名が集まり、集落最大級の屋根を一気に葺き替えます。山々をバックに、屋根一面に住民が登って作業する光景は、壮観であり圧巻でした。
屋根は巨大で急勾配、多大な費用と時間と労力が必要です。大量に使う茅は、茅を育てる「かや場」で毎年刈って保存します。近年はかや場も減り、屋根葺きを業者に委託したり家を取り壊す例も増えたようです。合掌造りのある集落も減って、住民同士の絆も薄れつつあるということです。

このような大がかりな作業は、結(ゆい)という互助制度の仕組みによって行われます。
作業にあたってお金のやり取りはなく、全て無償で行われます。白川郷では結を行う組織を合力(こうりゃく)と呼び、田植えや稲刈り、冠婚葬祭など人手が必要な生産や生活全般で行われていました。
仕事が終わると、直会(なおらい)と呼ばれる慰労会が行われます。
会食する住民は、「これが大変楽しい」「心のつながりが育つ場だ」など、お互いに助け合う互助の心を確認し合う場になるようです。

足立区では、秋には予防介護に相当する地域支援事業が始まりますが、最近は地域の助け合いの仕組みが求められています。
先進的な施設では、施設の内に普段暮している地域を作る試みがされていますが、将来は、地域社会が施設となることが求められるかもしれません。
古くからの集落共同体は、時代と共に失われます。しかし、伝統文化を次の代に伝え前の代から引き継ぐことで、人々が助け合う心を残していくことはできると思います。

今年も、ゆいの精神でがんばりましょう。

白川郷

 

 

 

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